渚のInvitation7

渚のInvitation7



「くっ……ん、あ――っ、あっ」
 バスルームに紫龍の吐息混じりの喘ぎが響いた。
「紫龍……」
「あ、ダメ……だ、そんな――っ!」
 熱に浮かされたように紫龍の名を呼んで、シュラが愛撫の手を紫龍の性器へと伸ばすと、紫龍はたちまち甘い声を上げた。
「あっ、あ……んっ!」


 紫龍に愛を告げてキスを交わしたシュラは、紫龍が落ち着くのを待って部屋へと戻ってきた。海水に濡れた身体を洗うために、先に紫龍をバスルームへ入れようとしたのだが、紫龍はシュラから離れようとしなかった。
「俺がお前をどう思っているか、わかっただろう? 頼むから聞き分けくれ」
「嫌です」
 頑是ない幼子のように、紫龍が首を横に振ってシュラの腕にすがりついてきた。
「紫龍……今の俺は、お前に何をするかわからんぞ。だから、離れろ」
「俺はあなたになら、何をされても構わない。だから、離れない」
「本気か、紫龍!?」
 信じられなかった。紫龍が自分を誘っていることが。
「さっきのようなキスだけでは済まんぞ。それもわかっているのか?」
「それは…よくわからない。でも、さっきからあなたの小宇宙が俺を捉えて離さないんだ。それでもまだ、俺に離れろと言うつもりですか?」
 紫龍に指摘されて、シュラは心の中で苦笑した。小宇宙は便利なことも多いが、感じ取ることのできる相手の前では本音を隠せないという点では不便だ。
「小宇宙は嘘をつかない……そうだったな」
 自分の心を偽らずに正直に行動しろと、シュラはよりによって誰よりも愛する相手によって諭されてしまった。シュラは先ほど、抑えきれない本音を紫龍に告げている。それをわかった上で、シュラを受け入れるというのならば。
「お前を離さない。それでいいか?」
「……」
 紫龍は黙って頷いた。
 シュラは紫龍に口づけて、抱きしめたままバスルームの扉を開けた。


「シュラ……シュラ、あっ!」
 音を立てて紫龍の性器を吸い上げると、抑えられない声を上げて紫龍はシュラの髪に指を差し入れてきた。全身を満たす快楽に膝が震え、今にも崩れそうになる身体をシュラは片腕で支えながら愛撫する。
「ダメ、だ……あ、んっ!」
 シャワーを流しながら海水に濡れた紫龍の身体を洗うシュラの手が愛撫へと変わるのに、それほど時間はかからなかった。
 沖縄に来てからシュラと共に過ごし、外で遊ぶ機会も多かったにもかかわらず、シュラの気遣いもあって紫龍の肌はほとんど日に焼けていない。白く滑らかで、若さゆえに弾力のある肌が、シュラの愛撫によって紅く色づいていく。まるで蕾が花開いていくかのように。
 ただシュラの愛撫を受け入れているだけで、自分から積極的に動くことはないのに。紫龍はシュラを夢中にさせていた。
「ああ、シュラぁ……」
 幹に浮き上がる血管を舌でなぞり、先端に軽く歯を立てると、紫龍は熱に浮かされた舌足らずな口調でシュラを呼んだ。
 シュラの口の中で、紫龍の性器が膨れあがる。紫龍の限界が近い。
 シュラは紫龍の性器を口の奥まで飲みこんで、一層強く吸い上げた。吸いながら紫龍の性器を口の中から引き抜いて、もう一度飲みこもうとした時。
「ああっ!」
「っ!」
 幹の先端から白濁した液を噴き出してシュラの顔を濡らし、紫龍は崩れるようにバスルームの床に膝をついた。
 流したままにしているシャワーが、紫龍の精液に濡れたシュラの顔を洗い流していく。
 シュラは脱力して崩れ落ち、熱い吐息を洩らす紫龍の身体を抱き止めた。
「気持ち良かっただろう?」
「……はい」
 シュラの問いかけに素直に頷く紫龍が愛しかった。
「お前が気持ち良さそうにしているからな、俺も……」
「ぁっ……」
「わかるか? 熱くなっているのが」
 紫龍の手を捉えて、シュラは紫龍の痴態を見てすっかり猛った自身に触れさせた。

「お前を欲しがってる」

「シュラ……」
 紫龍の唇を塞いで舌を差し入れると、紫龍もすぐに応えてきた。舌を絡ませながら、シュラは紫龍の背中から下へと指を這わせ、秘所を探る。
「あっ、そんな所……っ!」
「ちゃんとほぐしてからでなければ、傷ついてしまってお前も大変な思いをするからな。それに、俺もお前が回復するまでお預けを食らうハメになる」
 シュラは体勢を入れ替えて、これから自分が蹂躙することになる秘所に舌を這わせた。唾液をたっぷりと乗せた舌を這わせ、指を1本ずつ差し入れて、紫龍を傷つけないように丁寧にほぐしていく。
 2本、3本と紫龍が飲み込む指の本数が増える。
 肉がほぐれてきた感触を覚えて、シュラは自分を抑えつけていた理性の枷を外した。
「挿入れるぞ、紫龍」
 指を引き抜いて、シュラは一刻も早く紫龍の中に入りたいと涙を零す男根の先端を宛がった。
「腰を上げろ……そう、いい子だ」
 紫龍を後ろ向きに膝立ちにさせて、湯を張った浴槽の縁に捕まらせる。
「力を抜け」
 シュラは紫龍の腰を抱え上げて、ゆっくりと先端を紫龍の中へ潜り込ませた。
「あ――っ! あ、つ……い」
 じっくりほぐされたとはいえ、初めて男を受け入れる辛さを消せるはずがなかった。シュラの膨れ上がった男根を受け入れるには、紫龍のそこはあまりにも狭い。
「息を吐いて……そう、力を抜くんだ」
 先端が入っただけで、紫龍がぎゅうぎゅうとシュラを締めつけてくる。気持では受け入れると言ったものの、体はそうもいかないのだろう。だが、このままでは生殺しにされているようでシュラが辛い。
 胸を愛撫したり、前に手を伸ばして紫龍の性器に触れたりして、何とか力を抜かせようとするが、紫龍の体は強張ってしまっていた。
「すまん、我慢してくれ」
「うあっ!」
 ほんの一瞬、性器を刺激されて緩んだ隙にシュラは自身を根元まで突き入れた。
「……ぁ、ぅっ……」
 浅く息をして、衝撃に耐える紫龍をシュラは精一杯の愛情をこめて抱きしめた。
「紫龍、紫龍……大丈夫か?」
 自分を受け入れた紫龍のそこが、シュラを拒絶しているのがわかる。だが、今更止められるものではなかった。
 顔にかかる水を吸って重くなっている長い黒髪をかき上げて、シュラは紫龍を振り向かせた。小さく震える唇にキスをすると、紫龍も応えてきた。
「俺は……平気、です。だから……続けて………」
 唇が離れた時に、消えそうな声で言う紫龍に、シュラはもう一度深く口づけた。そして一度自身を先端まで引き抜いて、根元まで突き入れた。
「あっ! あ、あ――っ!」
 何度も何度も、引き抜いては突き入れる。シュラはただ夢中で紫龍を貪った。
「紫龍……、お前の中、温かいぞ……」
「あ……んぁっ!」
「くっ、そう締めるな、紫龍」
 シュラが指で探り当てた敏感な場所をシュラの先端で抉られて、紫龍が息をつめた。瞬間的に中に入っているシュラを締め付けて、シュラが苦痛の入り混じった快感を訴える。
「あっ、あ、あぁ……」
 揺さぶられて、抜き差しされているうちに、紫龍が次第に快感を訴え始めた。
 シュラを受け入れてすぐの時は縮こまっていた紫龍の性器も、再び勃ち上がっている。そして何より……
「龍……?」
 紫龍の背中に、小宇宙が全身に満ちた時に浮かぶという昇竜が浮かんでいた。
「お前、こんな時にも龍が浮かぶんだな」
「え? あ、あっ!」
 背中の龍を指でなぞって、その後に唇を這わせていく。
 紫龍はたちまち声を上げて、ビクビクと体を震わせる。
 中にいるシュラへの締めつけも、一層強くなる。
「う……ぁっ」
 思わず声を上げたのは、シュラの方だった。全身を快楽が駆け巡っていくのを、シュラは感じていた。
「紫龍……気持いいぞ」
「あ、ああ……シュラぁっ!」
 ひときわ高い声でシュラを呼んで、紫龍は性器から樹液を吐き出した。
 同時にシュラも痛いほどに自分に絡みついてくる紫龍の中で、暴発した。




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