座頭市

座頭市

koku04.JPG 2003年公開   116分   原作:子母沢寛   監督・脚本・編集:北野武
<出演>座頭市:ビートたけし   服部源之助:浅野忠信   おうめ:大楠道代   おしの:夏川結衣   新吉:ガダルカナル・タカ   おせい:楠大五郎   おきぬ:大家由祐子   銀蔵:岸部一徳   扇屋:石倉三郎   飲み屋の親父:柄本明
<物語~「座頭市」パンフ他より>
 その日、三組の旅人が同じ宿場町に入った。
 まずひとりは金髪頭に朱塗りの杖を持った盲目の居合いの達人・座頭市。
 二組目は服部源之助と妻おしの。
 そして三組目は、旅芸者のおきぬ、おせい姉妹。
 宿場町を仕切っているのはヤクザの銀蔵一家と、金持ちの商人・扇屋。銀蔵一家の賭場に入った市は、そこで知り合った遊び人、新吉と荒稼ぎをする。新吉は、市が助けたのがきっかけで、その家に厄介になっている野菜売りのおうめの甥だった。その頃、浪人・服部は飲み屋「的屋」で飲んでいた。的屋の親父に金を要求しにきたヤクザに剣の腕を見せつけ、服部は用心棒となる。

 同じ店で、服部と市は初めて出会う。とんでもなく腕が立つ二人は、その抜きん出た強さゆえに、やがて命をかけて対決せざるをえない宿命にあった。
 ひょんなことからおきぬ・おせいの姉妹と知り合った市は、おせいが実は男だと見抜く。二人は親の仇を探すために、旅芸者に身をやつしているのだった。
 銀蔵一家の用心棒となった服部。銀蔵とつるんでいる扇屋を仇の一人と踏んで近づくおきぬとおせい。銀蔵一家が仕切る賭場で大立ち回りを演じた市――同じ日にこの町にやってきた、訳ありの三者の運命の糸はやがて絡み合う。

 銀蔵一家、そして服部との壮絶な戦いに挑む座頭市。問答無用の戦いが幕を開けようとしていた・・・!

 いやぁ、痛快でスッキリ爽快な映画でした。
 さすがは、今回はエンターテインメント性を強調しているだけのことはあります。

 なんたって、たけしさんの座頭市はカッコいいし、浪人役の浅野もカッコいいし(^^)。そして、どっちもメチャメチャ強い! 公開前から話題になっていましたが、殺陣のスピード感はサイコーです。たけしさんの8人切りも、浅野の12人切り(だったと思う;)も、さすが!といった感じでございました。
 そして、たけしさんの芸人魂炸裂といいますが、あちこちに笑いの要素が組み込まれていて、シリアスな場面なんだけど笑ってしまう所や、モロにお約束なギャグになっている所などがあって、かなり笑わせてもらいました。たけしさんの映画観て、あんなに笑ったのって初めてじゃないのかな?
 そういう意味では、ガダルカナル・タカさんはいい味を出しておられました。まるで、『御法度』のトミーズ雅さんのよう(←おいっ;)。

 そして、劇中に何度か登場し、ラストでも圧巻のパフォーマンスを見せてくれる、THE STRIPESのタップ。たけしさんの「誰でもピカソ」にも登場し、たけしさん自ら弟子入りするほどに入れ込んでいるという彼らが、全編を通じてあらゆるタップ&リズムパフォーマンスを見せてくれました。
 まさか、ねぇ。畑に鍬を入れる音とか、濡れてドロドロになった田んぼで飛び跳ねる音とか、家を建てる時の釘を打ったり梁や柱を叩く音がですよ。絶好のリズムパフォーマンスに変身するなんて、普通じゃ思わないですよ。そういう音が、映画全体から感じられる小気味よさと絶妙にマッチしていて、思わず体が揺れてしまうくらいのビート感を生み出しているというのは、やはり今回は音楽を久石譲さんではなく、鈴木慶一さんに依頼した成果なのかも。……そりゃ、公開後にサントラが売れるわけですよ。
 ラストの60人でのタップダンスも、圧巻でございました。まさか、登場人物たちまでタップを踏むとは思わなかったので、本当にビックリ! そして圧倒されました。

 役者陣も、夏川結衣さんは相変わらず“幸薄い”系で。おせいを演じた楠大五郎さんは、16歳とはとても思えない(本当に、ビックリ!)ほど艶やかで(どこか、『御法度』での松田龍平君を彷彿とさせてくれます)。柄本さんは相変わらず胡散臭いし、岸部さんはワルなんだけどどこか抜けてるし。
 そして、やはりおられました。日本映画界で最も濃ゆい(?)バイプレーヤーのお3方。田中要次さんは相変わらず情けなく斬られていくし、森下能幸さんはヘンなキャラだし。でも、1回目では津田寛治さんがどこにおられたのか、わからなかったんです(涙)。2回目で判明するかも、なのですが。

 R-15指定を受けてしまったということで、斬られて血が吹き出るシーンもかなり多いのですが(まぁ、チャンバラ劇なので当然なんですが)。そういうのがニガテな方は、そのシーンだけ目をつぶっていただいて。でも、全体的にはとても面白い映画でした。
 見た後も、エンディングでしばらく笑いが止まらなくて(笑)。
 お約束ネタも満載、殺陣はスピード感とリズム感が全面的に押し出されていて、スッキリ爽快。そして浅野とたけしさんがカッコいい! そしてラストのタップで魅せてくれる。116分があっという間でした。
 そして、『御法度』ファンとしては、浅野の風貌&ぶった切るカッコよさとか。おせいを演じた楠大五郎さんの艶やかさとか。タカさんの面白さとか。たけしさんの、やはり土方さんを思わせるカッコよさとか。
 やはり、大島監督の影響が色濃く出ているんではないかなぁ、と思ってしまいました。……思いたいだけかも、という感じもするのですが(苦笑)。

 なんだか、映画を見に行ったというよりは、ライブに行ってきたという感覚の1本でした。
 ベネチア映画祭で、観客がラストのタップのリズムで拍手をした、というその気持ち。よくわかります。しばらくあのリズムが体に残ってましたから(^^)。
 結月的には、かーなーり気に入りました。

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