いやぁ、痛快でスッキリ爽快な映画でした。
さすがは、今回はエンターテインメント性を強調しているだけのことはあります。
なんたって、たけしさんの座頭市はカッコいいし、浪人役の浅野もカッコいいし(^^)。そして、どっちもメチャメチャ強い! 公開前から話題になっていましたが、殺陣のスピード感はサイコーです。たけしさんの8人切りも、浅野の12人切り(だったと思う;)も、さすが!といった感じでございました。
そして、たけしさんの芸人魂炸裂といいますが、あちこちに笑いの要素が組み込まれていて、シリアスな場面なんだけど笑ってしまう所や、モロにお約束なギャグになっている所などがあって、かなり笑わせてもらいました。たけしさんの映画観て、あんなに笑ったのって初めてじゃないのかな?
そういう意味では、ガダルカナル・タカさんはいい味を出しておられました。まるで、『御法度』のトミーズ雅さんのよう(←おいっ;)。
そして、劇中に何度か登場し、ラストでも圧巻のパフォーマンスを見せてくれる、THE STRIPESのタップ。たけしさんの「誰でもピカソ」にも登場し、たけしさん自ら弟子入りするほどに入れ込んでいるという彼らが、全編を通じてあらゆるタップ&リズムパフォーマンスを見せてくれました。
まさか、ねぇ。畑に鍬を入れる音とか、濡れてドロドロになった田んぼで飛び跳ねる音とか、家を建てる時の釘を打ったり梁や柱を叩く音がですよ。絶好のリズムパフォーマンスに変身するなんて、普通じゃ思わないですよ。そういう音が、映画全体から感じられる小気味よさと絶妙にマッチしていて、思わず体が揺れてしまうくらいのビート感を生み出しているというのは、やはり今回は音楽を久石譲さんではなく、鈴木慶一さんに依頼した成果なのかも。……そりゃ、公開後にサントラが売れるわけですよ。
ラストの60人でのタップダンスも、圧巻でございました。まさか、登場人物たちまでタップを踏むとは思わなかったので、本当にビックリ! そして圧倒されました。
役者陣も、夏川結衣さんは相変わらず“幸薄い”系で。おせいを演じた楠大五郎さんは、16歳とはとても思えない(本当に、ビックリ!)ほど艶やかで(どこか、『御法度』での松田龍平君を彷彿とさせてくれます)。柄本さんは相変わらず胡散臭いし、岸部さんはワルなんだけどどこか抜けてるし。
そして、やはりおられました。日本映画界で最も濃ゆい(?)バイプレーヤーのお3方。田中要次さんは相変わらず情けなく斬られていくし、森下能幸さんはヘンなキャラだし。でも、1回目では津田寛治さんがどこにおられたのか、わからなかったんです(涙)。2回目で判明するかも、なのですが。
R-15指定を受けてしまったということで、斬られて血が吹き出るシーンもかなり多いのですが(まぁ、チャンバラ劇なので当然なんですが)。そういうのがニガテな方は、そのシーンだけ目をつぶっていただいて。でも、全体的にはとても面白い映画でした。
見た後も、エンディングでしばらく笑いが止まらなくて(笑)。
お約束ネタも満載、殺陣はスピード感とリズム感が全面的に押し出されていて、スッキリ爽快。そして浅野とたけしさんがカッコいい! そしてラストのタップで魅せてくれる。116分があっという間でした。
そして、『御法度』ファンとしては、浅野の風貌&ぶった切るカッコよさとか。おせいを演じた楠大五郎さんの艶やかさとか。タカさんの面白さとか。たけしさんの、やはり土方さんを思わせるカッコよさとか。
やはり、大島監督の影響が色濃く出ているんではないかなぁ、と思ってしまいました。……思いたいだけかも、という感じもするのですが(苦笑)。
なんだか、映画を見に行ったというよりは、ライブに行ってきたという感覚の1本でした。
ベネチア映画祭で、観客がラストのタップのリズムで拍手をした、というその気持ち。よくわかります。しばらくあのリズムが体に残ってましたから(^^)。
結月的には、かーなーり気に入りました。