「陰陽師」は野村萬斎さんを観るための映画です!
いやぁ、前作以上に妖しい晴明でございましたよ、野村萬斎どの! 前作は博雅が危ういことになりましたが、今回は晴明自身が命をかけて戦うことになってしまいます。日本の神話に基づいて作られた話ということで、天の岩戸の伝説とか、出雲神話とかが出てくるので、ご存じない方はあらかじめパンフを読むなどして、基礎知識を頭に入れておかれた方がいいかもしれません。
で、今回の敵は神様でございますよ、晴明どの。前回の怨霊より、遙かに手強い相手です。なので、晴明も命をかけて戦うことになるわけですね。そして、あの舞ですよ。物語のクライマックスで、天岩戸にちなんで女舞を舞うのですが(岩戸に隠れてしまった天照大神を引き出すために、女神が岩戸の前で舞う場面が神話に出てきます)、その舞がこれまた見事。唇に紅を引き、髪をほどいて、緋色の袴をはいて白い着物で、鈴と扇を持って舞う萬斎さんは本当に美しい(^^)。そして、本当に一瞬女性のように見えてしまうのですから、さすがです。ご本人曰く、歌舞伎の女形の動きなどを研究なさったようですけど。平安時代には、男性は冠を取るのは裸になるより恥ずかしい、という風俗だったそうで。それを思えば、冠を取って髪を解く、というのは裸になるよりも恥ずかしい行為というわけです。それだけでも、もう晴明の覚悟は見て取れるというもので。
“萬斎さんに舞ってもらうために”今回のような話にした、と原作者の夢枕先生が仰っていたように、今回の舞も前作以上に見事でございました。皆さん、エンディングは席を立たずに萬斎さんの舞を堪能しましょうね(^^)。
脇の方々に関しては、やはり前作と比べると若干見劣りすると言いましょうか、負けてるなぁ、という印象がやはりありました。けれど、市原隼人君は頑張ってましたね。あの須佐という役、かなり難しい役どころだったのでは、と推察致します。
そして、博雅ですよ。やっぱり、博雅はいい男なのです(^^)。伊藤君も、前作よりずっと上手くなっていて、博雅の無作為の作為と言いましょうか、本人は無意識で自然にやっていることなんだけど、周りが感に入って博雅のために動いてしまう、という博雅の良さがよく出ていたような気がします。一見おまぬけなんだけど、実は博雅がいるから、晴明は晴明として生きていけるんだよね、という二人の関係はより鮮明に出ていたように思います。
しかし、「陰陽師」と言えば、晴明がヒロインに呪をかけるシーンが、まるでHシーンのように妖しい(笑)というのが売り(?)なわけで。今回のターゲットはフカキョンです。でも、やっぱりまだフカキョンは若いなぁ。というか、前作の小泉今日子さんと比べるのはかわいそうなのかもしれませんが、やはり前作の方が、ヒロインの露出度は低くてもH度は高かったかも(笑)。「Dolls」でのフカキョンはすごく良かったんですけどね。今回は、まだあともう一歩、って感じがしました。
今回、2作目ということで、晴明・博雅・密虫のチームワークは良くなってるなぁ、と感じました。やはり、この3人(密虫は式神ですが;)がいなきゃ、「陰陽師」じゃないよね(^^)。博雅はおまぬけさんじゃないと、「陰陽師」じゃないよね(^^)。でもって、萬斎さんが凛としてカッコ良くなきゃ、「陰陽師」じゃないよね(^^)。
というわけで、3作目。楽しみですなぁ。