陰陽師2

陰陽師2

koku04.JPG 2003年公開   115分   原作:夢枕漠(「陰陽師」シリーズ)   監督:滝田洋二郎
<出演>安倍晴明:野村萬斎  源博雅:伊藤英明  蜜虫:今井絵理子  
      須佐:市原隼人   日美子:深田恭子   藤原安麻呂:伊武雅刀
      月黄泉:小手川祐子   幻角:中井貴一
<物語~「陰陽師Ⅱ」ときがたり絵巻より>
 篝火が照らす祭壇の前で、陰陽師たちが祈祷をあげ、鬼払いの儀式が盛大にとり行われていた。右大臣、藤原安麻呂の屋敷である。屋敷の中から狩衣に身を包んだ男装の若い娘が弓矢を片手に悠然と現れ、的にした鬼の絵の真ん中に見事に矢を命中させる。
 安麻呂の一人娘、日美子だ。
 弓の名手で勝気ゆえに、「男姫」などと陰口をたたく者もいる、その美しい姫に源博雅は思わず見惚れてしまうのだった。しかし、その日美子が日隠れ(日蝕)の起きた日以来、夜な夜な覚えなく夢遊病のようにさまよっているという。近頃、都を騒がす人喰い鬼と娘に何か関連があるのではと心配し、安麻呂は博雅を介して平安京随一の陰陽師・安倍晴明に調査を依頼する。小鳥など生き物の傷を治してしまう不思議な力を持つ日美子を見た晴明は、何も案ずることはないと言いきるが、安麻呂が何かを隠していることを悟る。

 同じ頃、都にはどんな傷や病もたちどころに治すことから、多くの信者を集め「神」と崇められる術師・幻角が現れていた。幻角は羅城門近くの屋敷跡で病人や乞食を、これも不思議な力で治療し人々から賞賛されていた。
 藤原一門や晴明のことを心よく思わない平為成と三善行憲は、幻角を担いで鬼退治をさせ、晴明に対抗して宮中での権力争いに利用しようと画策するのだった。
 そして、内裏では都の宝「アメノムラクモの剣」が、音をたてながら妖しい光を放ちだす。帝をはじめとする殿上人の前で、剣を調べることを命ぜられた晴明は、ただならぬものを感じ取って、剣の切っ先を大地に突き刺すが、何も起こらずに人々の失笑を買う。しかし、博雅、密虫とともに剣について古い書物を調べ始めた晴明は、大和朝廷と出雲の国との封印された歴史に辿り着くのだった。

 やがて、博雅が羅城門の近くで知り合い、管弦の友となった琵琶の名手、須佐も事件に深い関わりを持つことを知る。
 美しい姫、日美子の出生に隠された秘密とは何なのか、安麻呂が隠す事実とは? 夜毎都に出没し人を喰らう「鬼」の正体とは?
 日美子と同じ不思議な力を持つ幻角は一体何者なのか? 出雲族の里を舞台に事件は想像を遙かに超えた展開を見せて行く…。

「陰陽師」は野村萬斎さんを観るための映画です!

 いやぁ、前作以上に妖しい晴明でございましたよ、野村萬斎どの! 前作は博雅が危ういことになりましたが、今回は晴明自身が命をかけて戦うことになってしまいます。日本の神話に基づいて作られた話ということで、天の岩戸の伝説とか、出雲神話とかが出てくるので、ご存じない方はあらかじめパンフを読むなどして、基礎知識を頭に入れておかれた方がいいかもしれません。
 で、今回の敵は神様でございますよ、晴明どの。前回の怨霊より、遙かに手強い相手です。なので、晴明も命をかけて戦うことになるわけですね。そして、あの舞ですよ。物語のクライマックスで、天岩戸にちなんで女舞を舞うのですが(岩戸に隠れてしまった天照大神を引き出すために、女神が岩戸の前で舞う場面が神話に出てきます)、その舞がこれまた見事。唇に紅を引き、髪をほどいて、緋色の袴をはいて白い着物で、鈴と扇を持って舞う萬斎さんは本当に美しい(^^)。そして、本当に一瞬女性のように見えてしまうのですから、さすがです。ご本人曰く、歌舞伎の女形の動きなどを研究なさったようですけど。平安時代には、男性は冠を取るのは裸になるより恥ずかしい、という風俗だったそうで。それを思えば、冠を取って髪を解く、というのは裸になるよりも恥ずかしい行為というわけです。それだけでも、もう晴明の覚悟は見て取れるというもので。
 “萬斎さんに舞ってもらうために”今回のような話にした、と原作者の夢枕先生が仰っていたように、今回の舞も前作以上に見事でございました。皆さん、エンディングは席を立たずに萬斎さんの舞を堪能しましょうね(^^)。

 脇の方々に関しては、やはり前作と比べると若干見劣りすると言いましょうか、負けてるなぁ、という印象がやはりありました。けれど、市原隼人君は頑張ってましたね。あの須佐という役、かなり難しい役どころだったのでは、と推察致します。
 そして、博雅ですよ。やっぱり、博雅はいい男なのです(^^)。伊藤君も、前作よりずっと上手くなっていて、博雅の無作為の作為と言いましょうか、本人は無意識で自然にやっていることなんだけど、周りが感に入って博雅のために動いてしまう、という博雅の良さがよく出ていたような気がします。一見おまぬけなんだけど、実は博雅がいるから、晴明は晴明として生きていけるんだよね、という二人の関係はより鮮明に出ていたように思います。

 しかし、「陰陽師」と言えば、晴明がヒロインに呪をかけるシーンが、まるでHシーンのように妖しい(笑)というのが売り(?)なわけで。今回のターゲットはフカキョンです。でも、やっぱりまだフカキョンは若いなぁ。というか、前作の小泉今日子さんと比べるのはかわいそうなのかもしれませんが、やはり前作の方が、ヒロインの露出度は低くてもH度は高かったかも(笑)。「Dolls」でのフカキョンはすごく良かったんですけどね。今回は、まだあともう一歩、って感じがしました。

 今回、2作目ということで、晴明・博雅・密虫のチームワークは良くなってるなぁ、と感じました。やはり、この3人(密虫は式神ですが;)がいなきゃ、「陰陽師」じゃないよね(^^)。博雅はおまぬけさんじゃないと、「陰陽師」じゃないよね(^^)。でもって、萬斎さんが凛としてカッコ良くなきゃ、「陰陽師」じゃないよね(^^)。
 というわけで、3作目。楽しみですなぁ。

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