風花

風花

koku04.JPG 2001年公開   116分   監督:相米慎二   原作:鳴海章(「風花」)
<出演>富田ゆり子:小泉今日子  澤城廉司:浅野忠信  美樹:麻生久美子  廉司の上司:小日向文世  富田(ゆり子の亡夫):鶴見辰吾  温泉宿の親父:柄本明  空港の芸能人:椎名桔平
<物語~「風花」ビデオより>
 故郷・北海道に残した一人娘に5年ぶりに会いに行く風俗嬢ゆり子。
 澱酔し、コンビニで万引きしたことから、自宅謹慎を命じられている高級官僚の廉司。
 廉司は酔った勢いからゆり子の北海道への旅につきあうことになり、性格も生活も旅の目的も全く異なる二人の、ぎくしゃくとしたドライブが始まった…。だが実家に着いたゆり子は義父の「東京で何をしているのか知らないわけじゃない。香織の為にも、会わせるわけにはいかない…」という言葉に返す術もなく実家を後にする。廉司はこの遠く離れた地で、上司からの一方的な解雇通告を聞くことになる。「もう自分には帰る場所などない」
 行き場をなくした「帰れない二人」を乗せた車は、まだ雪の残る山奥深くへと向かっていく。

 「セーラー服と機関銃」「お引越し」をはじめとする、さまざまな名画を残した相米監督の、遺作となってしまった作品です。
 一言で言えば、切ない大人のラブストーリー的ロード・ムービー、といったとこでしょうか。

 この映画、廉司役は当初、小泉今日子さんのダンナ様である永瀬正敏さんがあげられていたそうです。脚本を読まれた永瀬さんが、「これは浅野君がいいよ」ということで、浅野忠信さんが相手役になったのだとか。
 特筆すべきは、やはり、外見から想像できませんがお酒がまったくダメだという浅野氏が、ぐでんぐでんに酔っ払って、「こういうヤツとは酒飲みたくねぇよなぁ」的な酔っ払いになっていることでしょう(笑)。本当に、飲めない人だとは思えない、酔っ払いぶりです。さすが、役者。
 そして、小泉今日子もくたびれた風俗嬢の雰囲気がよく出ていて、さすがなのです。
 彼女を一番すごいと思ったのは、ラスト近くの雪のシーン。雪の中で、上半身タンクトップ&ストールを首に巻いただけ、という姿で踊るという幻想的なシーンがあるのですが、息が白いんですよ。北海道で、雪の中で、恐らく気温もとぉっても低い。そんな中で、なのです。そしてそれが、とても綺麗なのです。やはり、役者といいますか、プロのすごさといいますか。このシーンは、やはり一番の見所ではないかと思います。浅野氏の酔っ払いぶり&鼻持ちならないエリートぶりと並んで(笑)。

 この映画、ラブストーリーではあるんですが、ゆり子と廉司の直接的なラブシーンというのは出てきません。ただ、一緒にドライブしていく様子を見るうちに、なんとなく関係が深まっていくような気がするだけ。そして画面全体からくたびれた雰囲気が漂ってくるのです。こういう雰囲気、私的には結構好きです。

 しかし、やはり浅野忠信だなぁ~、と思ってしまったのが、お互いの腕(腿だったかな?)に遺書のような言葉を書くシーンがあるのですが、浅野氏。…毛で字が読めません(苦笑)。さすがは胸毛でギャランドゥですね毛で、、、。いえ、余計なことを申しました。

 余計なことついでに、この映画。見終えてしばらく経ってから、好きになった役者さん(津田健次郎さん)が出演なさっていることが判明。改めてビデオを見返したのですが、見返したのですが、探したのですが、、、。どこに出ておられたのかわかりませんでした(泣)。でも、最後のテロップにはちゃんとお名前があるんですよねぇ。浅野氏の同僚として出ておられたのか、あるいは温泉宿におられたのか。あの容貌からして、浅野氏の同僚ではないか、と見ているのですが、、、。また探してみようと思います。
 …と書いたのですが、後日、ついに判明しました。正解は“浅野氏の同僚”。麻生久美子ちゃん演じるホステスさんのいる店で、手品を披露する上司の右で笑っている、スーツで眼鏡で前髪上げてる彼! 声と顔でわかりました(笑)。はぁ、それにしても、こんなワンカットじゃ、見逃すのも無理ないかも…(苦笑)。

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