あずみ

あずみ

koku04.JPG 2003年公開   約150分   原作:小山ゆう   監督:北村龍平
<出演>あずみ:上戸彩  最上美女丸:オダギリジョー  爺(小幡月斎):原田芳雄  加藤清正:竹中直人  井上勘兵衛:北村一輝  浅野長政:伊武雅刀  ひゅうが:小橋健児  うきは:成宮寛貴  なち:小栗旬  やえ:岡本綾
<物語~「あずみ」チラシより(一部省略)>
 徳川家康が江戸に幕府を開いたころ、戦乱の中で親を失い、孤児となった幼子あずみは、爺に拾われ、仲間の孤児と共に最強の戦士となるべく過酷な試練を積んで育てられた。爺は徳川家より“罪なき人々の幸せを奪う惨い戦を集結させるため、反乱を起こそうとする者を事前に抹殺する最強の戦士を育てて欲しい”という密命を受けていた。
 10年の歳月が流れ、爺はたくましく育った10人の戦士たちに修練の終了と、今後の使命を宣言する。使命の前に希望と闘志を燃やす10人の若者たち。だが彼らに残酷な運命が待ち受けていた。爺は言う。「この先お前たちに与えられる使命は全て過酷を極める。刺客というのは殺す相手を選べぬのだ。ここで最後の試練を与える。殺し合え。」
 ほのかに想いを寄せていた『なち』と組んでしまったあずみは驚愕する。だが、使命のため殺し合う仲間たちの中で、二人は逃げ出すこともできなかった。生き残った『うきは』『ひゅうが』『あまぎ』『ながら』と共に、生き残ってしまったあずみは育てられた谷を出て、初めて外界へと旅立ってゆく。
 最初の指令は、旧豊臣恩顧の有力大名・浅野長政と加藤清正の暗殺であった。この指令を難なくこなしたあずみたちは、旅芸人一座の美少女やえと知り合う。ひゅうがが一目ぼれをしたりと、束の間の休息を楽しんでいたが、清正は影武者に差し替えられ、生きていた。
 友と殺し合い、憎くもない敵を斬り、罪もない人々を見殺しにし…と、あまりに酷い結果を生む自らの使命に疑問を感じ始めるあずみだったが、清正は悩む隙間も与えず、大きな罠を仕掛ける。あずみたちはこれ以上ない残酷な運命に導かれているとも知らず、清正に闘いを挑む。

 映画史上初、怒涛の200人斬りが話題の映画です。
 本当に、殺陣が見事で、それだけでも一見の価値あり、といった映画でした。話が話なだけに、全編に渡って殺陣のシーンが織り込まれているのですが、そのどれを取っても見事でした。「御法度」を観て以来、刀で斬り合うという場面は独特の色気がある、と思っている私なのですが、やはりこの映画にもその色気を感じざるを得ませんでした。…ちょっとアブナイかも(苦笑)。やはり、直接相手を傷つけ、命を奪う手応えを感じ、時には返り血を浴びるというシチュエーションが、そう感じさせるのかもしれません。
 これを観に行った理由は、実は友人がエキストラ参加していたから、なのですが。肝心のその友人は、どこにいるのかさっぱりわからず(苦笑)。まぁ、200人斬りのシーンは、どこに誰がいるかなど、上戸彩ちゃんとか、オダギリジョーとか、原田さん等など、メインのキャスト以外はよくわからないんですけどね。でも出演している役者さんたちも、よくあれだけの殺陣をこなしたなぁ、と感心させられました。
 やはり、内容が内容なだけに、血が流れるシーンも多くて、混乱の時期なので女性が襲われるシーンもあったりして。PG-12(12歳以下は保護者同伴のこと)指定を受けてしまったのも、、仕方ないかもしれないなぁ、と思ってしまいました。流血沙汰がニガテな方は、避けた方がいいかもしれません。かなりの量の血が流れてますので。

 この映画、役者もすごいです。
 清正役の竹中直人さんもさることながら、爺役の原田芳雄さんがカッコイイ。斬られながらもバッサバッサと敵を切り倒し、清正の眼前まで辿り着くあたり、本当にカッコイイです。
 そして、途中で戦線離脱することになる『あまぎ』役の金子貴俊君。彼は、「ウォーターボーイズ」でもちょっと情けない男の子の役だったのですが、今回もそれに似たような役で。でも、肝心な所は男らしく決めてくれるんですよね。こういう子、かなり好きです。
 それから、あずみたちに向けて放たれる刺客の一人で出演なさった、遠藤憲一さん。あずみの人相書きを見て「かーわいい(^^)」と言い、実際に目にしても「かーわいい(^^)」と言いながら斬りつけ。最後「あら、斬られちゃった」って倒れていく。本当、いい味出してました(笑)。
 そして、特筆すべきはやはり、最上美女丸役のオダギリジョーでしょう。おネェ言葉で話しつつ剣の腕は相当立つ、というイッちゃってる系の人(でもすんげぇ美形)なんですが、この役がまたぴったりハマってるんですよね。嬉々としてあずみと斬り合うシーンなど、本当に迫力あって面白かったです。

 私的には、この手の“大儀の前に友人知人を犠牲にし、葛藤しながらも使命を果していく”系の話というのに弱いため、映画を観ながらかなり泣きました。やっぱり、最初に出てくる“最後の試練”とか、途中で友人を見殺しにしなければならないとか。使命のためには仕方ない、と思いつつも割り切れないものがあって当然で。そういうシーンがあるからこそ、結果的に自ら戦いの中に身を投じていくあずみの哀しさが、より一層伝わってくるのかもしれません。あずみに斬られながら、斬ったあずみに「かわいそうに」と言いながら事切れた長政の言葉は、まさに観客の気持ちを代弁したものなのかもしれません。
 何かの映画雑誌で、延々と続く殺陣のシーンで爽快感よりもむしろ哀しさを感じた、と書いている方がおられましたが、まさにその通りといった感じでした。

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