映画史上初、怒涛の200人斬りが話題の映画です。
本当に、殺陣が見事で、それだけでも一見の価値あり、といった映画でした。話が話なだけに、全編に渡って殺陣のシーンが織り込まれているのですが、そのどれを取っても見事でした。「御法度」を観て以来、刀で斬り合うという場面は独特の色気がある、と思っている私なのですが、やはりこの映画にもその色気を感じざるを得ませんでした。…ちょっとアブナイかも(苦笑)。やはり、直接相手を傷つけ、命を奪う手応えを感じ、時には返り血を浴びるというシチュエーションが、そう感じさせるのかもしれません。
これを観に行った理由は、実は友人がエキストラ参加していたから、なのですが。肝心のその友人は、どこにいるのかさっぱりわからず(苦笑)。まぁ、200人斬りのシーンは、どこに誰がいるかなど、上戸彩ちゃんとか、オダギリジョーとか、原田さん等など、メインのキャスト以外はよくわからないんですけどね。でも出演している役者さんたちも、よくあれだけの殺陣をこなしたなぁ、と感心させられました。
やはり、内容が内容なだけに、血が流れるシーンも多くて、混乱の時期なので女性が襲われるシーンもあったりして。PG-12(12歳以下は保護者同伴のこと)指定を受けてしまったのも、、仕方ないかもしれないなぁ、と思ってしまいました。流血沙汰がニガテな方は、避けた方がいいかもしれません。かなりの量の血が流れてますので。
この映画、役者もすごいです。
清正役の竹中直人さんもさることながら、爺役の原田芳雄さんがカッコイイ。斬られながらもバッサバッサと敵を切り倒し、清正の眼前まで辿り着くあたり、本当にカッコイイです。
そして、途中で戦線離脱することになる『あまぎ』役の金子貴俊君。彼は、「ウォーターボーイズ」でもちょっと情けない男の子の役だったのですが、今回もそれに似たような役で。でも、肝心な所は男らしく決めてくれるんですよね。こういう子、かなり好きです。
それから、あずみたちに向けて放たれる刺客の一人で出演なさった、遠藤憲一さん。あずみの人相書きを見て「かーわいい(^^)」と言い、実際に目にしても「かーわいい(^^)」と言いながら斬りつけ。最後「あら、斬られちゃった」って倒れていく。本当、いい味出してました(笑)。
そして、特筆すべきはやはり、最上美女丸役のオダギリジョーでしょう。おネェ言葉で話しつつ剣の腕は相当立つ、というイッちゃってる系の人(でもすんげぇ美形)なんですが、この役がまたぴったりハマってるんですよね。嬉々としてあずみと斬り合うシーンなど、本当に迫力あって面白かったです。
私的には、この手の“大儀の前に友人知人を犠牲にし、葛藤しながらも使命を果していく”系の話というのに弱いため、映画を観ながらかなり泣きました。やっぱり、最初に出てくる“最後の試練”とか、途中で友人を見殺しにしなければならないとか。使命のためには仕方ない、と思いつつも割り切れないものがあって当然で。そういうシーンがあるからこそ、結果的に自ら戦いの中に身を投じていくあずみの哀しさが、より一層伝わってくるのかもしれません。あずみに斬られながら、斬ったあずみに「かわいそうに」と言いながら事切れた長政の言葉は、まさに観客の気持ちを代弁したものなのかもしれません。
何かの映画雑誌で、延々と続く殺陣のシーンで爽快感よりもむしろ哀しさを感じた、と書いている方がおられましたが、まさにその通りといった感じでした。