地雷を踏んだらサヨウナラ

地雷を踏んだらサヨウナラ

koku04.JPG 1999年公開   111分   原作:一ノ瀬泰造   監督:五十嵐匠
<出演>一ノ瀬泰造:浅野忠信  ティム:ロバート・スレイター   ロックルー:ソン・ダラチャカン  泰造の父:川津祐介  泰造の姉:羽田美智子  泰造の母:市毛良枝
<物語~「地雷を踏んだらサヨウナラ」DVDより>
 時は70年代初頭、インドシナ半島の動乱期。銃弾の飛び交うなか、機関銃の代わりにカメラを抱えてシャッターを押し続ける男がいた。ひとたび戦闘が始まれば身を隠すどころか真っ先に防空壕から這い上がり、ファインダーを覗き込み戦場を所狭しと駆け回る。生年の名は一ノ瀬泰造、25歳のフリー・ジャーナリスト。暴挙ともいえる彼の取材スピリットは、世界中から派遣された百選練磨の記者やカメラマンたちにも一目置かれ、敬意と親しみを持って“Taizo”と呼ばれていた。
 泰造は、ロバート・キャパや沢田教一に憧れて戦場カメラマンを志し、日本を飛び出して激動のインドシナ半島を駆け回るうち、解放軍の聖域アンコールワットを撮影することに取り憑かれてしまう。
 ベトナム戦争の戦火がカンボジアへと拡大していった72~73年、実際にインドシナ半島で活躍していた戦場カメラマン、一ノ瀬泰造を描いたこの映画。フラッシュの閃光にも似た、鮮烈で短い彼の生涯をフィルムに焼き付けた一篇である。

 「アンコールワットを撮れれば死んでもいい」
 70年代初頭に激動のインドシナ半島に散ったカメラマン、一ノ瀬泰造氏の鮮烈な生き様を映画化した作品です。
 ベトナム戦争がカンボジアに拡大していく中で、戦場を駆け回るうち、アンコールワットを撮影することにとり憑かれてしまい、アンコールワットの射程距離まで接近しながら、あと一歩のところで26歳になったばかりの生涯を閉じた泰造さん。映画は、実際に泰造さんが撮影した写真を織り込みながら、彼の生涯を描いていきます。

 その一ノ瀬泰造さんを演じるのが、当時彼の年齢とほぼ同年齢、顔も本人が「瓜二つ」と認めるほどよく似ているだけでなく、誕生日が泰造さんの没年日と同じである、という浅野忠信。銃弾と死で満たされた戦場に身を置きながら、力いっぱい笑い、泣き、叫ぶ。いつになく「熱い」浅野を見ることができます。
 また、彼が英語・カンボジア語・ベトナム語などなど、日本語以外のセリフで演じる姿もファン必見モノです。実際の泰造さんも、カンボジア語には堪能だったということで、演じる浅野も相当練習したのだとか。でもって、この映画でも彼の胸毛とギャランドゥはたっぷり堪能できます。(←おいっ;)

 冒頭の、戦場を走りながらシャッターを切るシーンを撮影し、そのままパッタリ倒れてしまい(なんと、食あたりで;)、せっかく鍛え上げた体が細くなっしまった、という苦労もなさったようですが、その熱演振りは十分伝わってきます。

 結月は、地元の映画館で観たのですが、次の回を待つ人の前に出て行くのが恥ずかしいぞぉ~(^_^;)、というくらいボロボロ泣きました。哀しい戦場の中で、それでも精一杯生きている人々。死と背中合わせの状況でも、笑って生活する人々の姿が、より一層戦争の悲惨さや死の残酷さを引き立たせるように思えました。せっかく少し泣きやんだと思ったら、またすぐに号泣シーンがやってくる。
 ハンカチ一枚では足りないくらい、涙、涙の一本です。
 そして、未だに世界各地には地雷で命や体の一部を失う人々が後を絶たないという状況を思い、心が痛む一本でもあります。

 この映画に主演したということもあったんでしょうか。2001年に坂本龍一氏が地雷撲滅キャンペーンとして発売したCDに、浅野はジャケットのイラストを提供していました。

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