千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し

koku04.JPG 2001年公開   124分   監督・脚本:宮崎駿
<声の出演>千尋(千):柊瑠美  ハク:入野自由  湯婆婆&銭婆:夏木マリ  千尋の父:内藤剛志  千尋の母:沢口靖子  青蛙:我修院達也  父役:上條恒彦  兄役:小野武彦  釜爺:菅原文太
<物語~「千と千尋の神隠し」DVDより>
 トンネルのむこうは、不思議の町でした。
 ありえない場所があった。ありえないことが起こった。
 10歳の少女・千尋の迷い込んだのは、人間が入ってはいけない世界。
 驚きと不思議の町で千尋が知るのは、大きな無力感と…小さな希望。
 「働かせてくださいっ」
 眠っていた千尋の“生きる力”が、しだいに呼び醒まされてゆく。

 日本人で、この映画を知らない人はいないでしょう、ってくらい有名な映画ですね。
 宮崎作品で久々の大ヒット、キャラもストーリーも説教臭さも全部ツボにはまった、という感じがします。これで、予告がもう少し早く、映画の面白い部分が出ている予告だったら、言うことなかったんですけどね。
 正直、予告編を見たときはここまで期待できる映画ではないな、と思ったんですけど(苦笑)。NHKの朝の連続テレビ小説『すずらん』で名演技を見せた柊瑠美ちゃん(一度だけ、実物見ましたがかわいかったです(^^))も、予告では「なんだ、下手くそじゃん」と思ったものですが、映画では全然そんな風に思わなくて。
 結月大注目の我修院達也さんは「殺し屋山田君」状態でカオナシを演ってくれて、狂喜乱舞。

 この映画、何故そこまで心惹かれるのかなぁ、と思っていたのですが、DVDを見直して気が付きました。例えば、千尋があちらの世界へ行って、ハクが握ったおにぎりを食べながら泣くシーン。この映画を観た人が、一番感動した、というシーンなんですが、多分、誰もが一度は経験したことのある感覚が映画の中で再現されていて、それに共感するからなのかもしれないですね。金をばら撒くカオナシに皆が飛びついたり、人の声を借りなければ話せなかったり、誰かを独占しようとしてひどく独善的になってしまったり。また、大切な誰かを守ろうとして必死になって、そこから強さが生まれてきたり。
 ファンタジーなんだけど、登場人物(あるいは動物)がとてもリアルな感覚で行動する。アニメなんだけど、実写以上にリアルに感じられるというのが、この映画の魅力なのかも、なのです。等身大の、特別何かの力を持っているわけでもない、普通の女の子が成長していくその過程を観ながら、自分も頑張ろうかな、と思う。
 そして、オクサレさまとか、カオナシとか、とても説教臭いキャラがいて、そういうことも考えないとなぁ、と思ってみたり。
 大お説教映画だよ、と某監督が仰ってましたが、それでもその説教臭いところも含めて、私はこの映画が好きです。おにぎり食べながら泣く千尋を観て、「うんうん、辛かったよねぇ」と思わず涙してしまったり。せっかく仲良くなった油屋の面々と笑顔で別れるシーンに、「異世界の人間だから仕方ないけど、切ないよなぁ」なんて思ってしまったり。

 この映画が好きだという理由の一つに、やはり音楽がいい、ということがあります。久石譲さんの曲が、絵の細かい動きによく合っていて、メロディーもキレイで。そして何よりも、ホールでフルオーケストラで収録されているので、音響のいい映画館で観ると、コンサート会場で生のオケを聴きながら映画を観ているような気分になって、あの感覚がとても好きでした。DVDだとビデオよりは音がいいのですが、やはりホームシアターのシステムがあればなぁ、と思ってしまいます。

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