思ったことが口に出さなくても周囲に筒抜けになってしまう「サトラレ」。安藤政信演じるサトラレの医者をめぐっての、さまざまなエピソードが織り込まれた感動のお話です。
『踊る大走査線 THE MOVIE』の本広監督が作っているだけあって、コミカルな部分はとことんコミカルに、泣けるシーンはとことん泣かせてくれる、メリハリのついた作品になってます。また、出演している役者さんたちが素晴らしい。八千草薫のおばあちゃんはとてもかわいらしくて、小野武彦のサトラレ保全委員会長官はどことなくおトボケさんで、寺尾聰の指導医はキマッているし。安藤政信も、少し自信過剰なところはあるけれど、根は素直で純朴な主人公がピタリとはまっていて、彼のセリフだけでもかなり涙を誘われます。
病気になったおばあちゃんを助けようとする孫のお話が軸になっていることもあり、クライマックスシーンは涙なしでは観られない、という感じです。映画を観るとすぐに泣く結月は、もちろんボロボロ泣きましたとも(笑)。
そして、この映画にもやはり出ていました、田中要次。サトラレにサトラレであることを気付かせないよう、彼を保護するサトラレ保全委員会の一人として。
しかしこの映画。何が笑えるって、やはり健一が心の中で思っている内容が、周りに筒抜けになっているが、本人はそれを知らない。という認識のズレから生じるさまざまな出来事でしょう。本人にサトラレであると悟られてはならない。ゆえに、周りも意識しないように気を配っているんですが、それでもやはり気になって注目してしまうんですね、健一に。
例えば、食堂の定食を健一が食べるシーン。椅子に座って、定食を口に運んで、、、という彼の行動を、周りはじ~っと見守っている。で、健一が一口食べて呟く言葉が「まずっ」(笑)。それを、周りがみーんな期待して待っているあたりが、かなり笑えます。
健一に失恋させようとして特能保全委員会が大奮闘する、失恋大作戦の下りも、緊迫しているんだけどどこか抜けていて、やはり笑いを誘ってくれます。
気持ちよく笑って、気持ちよく泣きたいときには「サトラレ」を。「サトラレ」普及委員会の一員として、自信をもってオススメします(笑)。