紅葉狩り おまけ編

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紅葉狩り おまけ編

~From:松本るり様



 翌日、奈良へ行くバスに乗り込み、奈良見物をした後に指定のホテルに入る。
 此方でも俺と蓮二は、二人共が班の部屋からあぶれて、二人部屋を宛われた。俺としては好都合だけどね。
 …蓮二の傍に入れる最期の夜だから…
 夜の京都と奈良は古都と呼ばれるだけはあって、夜もとても美しい…でもちょっと鋭い美しさを持っていると俺は思う…
 …あの影の部分…不二は正しく陰と陽だねと云っていたけど…俺に云わせれば、まるで蓮二のようで、目が離せなくなるんだ。
「どうした?外ばかり見て…」
「お帰りなさい、真田達とはもう良いの?」
「ああ、弦一郎と精市の仲睦まじい関係を当てつけがましく見せつけられた」
「そう、大変だったね」
 蓮二…俺が何も知らないと思ってるね。
 蓮二が俺の周りに張り巡らした策に俺自身が飛び込んで行くしかない状況を作ったと思ってるみたいだけど、俺は蓮二の練ってくれた策……俺はその策が俺の目の前に出てくるのを待っていたんだよ?
 この人が俺の為に用意した完璧な策……嬉々としてそれに飛び付き、蓮二のもので居たいと願った俺の思い……
「…蓮二」
「どうしたんだ…こんなお前を見れるとは…」
 蓮二に手を差し伸べた俺を優しく後ろから抱き留めてくれる。
「蓮二…俺は知ってるんだよ…」
「何を?」
「俺が蓮二に縛られるような策を廻らせてくれた事…」
「貞治…!?」
 思わず俺から離れる蓮二…ほら、驚愕してる…そんな蓮二も好きだよ?思わず薄く開いている目を大きく見開くその姿も大好き。柳蓮二という人物自体が好きなの…だから、蓮二がどんな策を俺に差し向けても、それが俺を捕まえる止めの事なら、尚のこと…
「…蓮二が俺にどんな策を廻らせても関係ないんだ…それで蓮二に縛られる事が出来るなら、俺は喜んでそれに…」
「じゃあ、全てを知っていて…お前は…」
「だから?それで蓮二の傍に行けるなら俺は…!」
「…敵わないな、お前には…俺が精密に考えた策を意図も簡単に解き、それに自らの意志で填る…」
「愛されてるね、蓮二」
「全くだ…」
 そう告げると、もう一度、力強く俺を後ろから抱き締めて呟いた。…その言葉を待ってたんだよ、蓮二。
「…完敗だ、貞治…それどころか俺の方が踊らされるとはな…」
「…クスッ…満足致しましたか、マスター柳」
「ああ、大いに満足だ」
 そう告げると、俺に極上のキスを俺に落としてくれた。


 …好きだよ、蓮二…
 …ああ、俺もだ…貞治、お前を愛している…


FIN


相互リンク御礼ということで、「CLITICAL TRIAL」の松本るり様よりいただきました。

紅葉が美しい秋の京都で修学旅行というだけでもステキなシチュエーションですのに、
さらに柳&乾で二人揃って薪能。
申し分ない、艶やかなお話でございます(^^)

お能には、悲しい物語も多いのですが、そのお話に自分を重ねてしまう貞治さんが愛しいです。
松本様、ステキなSSをありがとうございました<m(__)m>



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